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【30】丙午の迷信の話

人間万事塞翁が馬 30

令和8年(2026年)は丙午の年です。丙午は十干「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」と十二支「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」を組み合わせた六十の干支の中の一つです。

なので、干支は六十年に一度巡ってきます。丙午もそうです。

丙午には、ある迷信があって子供の出生率が下がります。

それは、井原西鶴の「好色五人女」の書かれて注目され、歌舞伎や文楽にもなったことから有名な「八百屋お七」の話です。

■江戸時代前期の年の瀬に起きた江戸の大火で焼け出された八百屋のお七は、避難先のお寺で一人の寺小姓と恋に落ちました。

しかし、家が再建されたのでお寺を出て、寺小姓とも別れなければならなくなりました。

家に帰ってからも寺小姓のことが忘れられずにいました。どうすれば、また会えるか考えた末に、また火事が起これば会えると思って、ついに自分の家に火をつけてしまいます。

幸いボヤで済んだものの、火付けは極刑です。お七は火あぶりの刑に処せられました。今でいえば中学生か高校生くらいの年齢です。

■八百屋お七が丙午の生まれだったので、丙午生まれの女は気性が荒く男を駄目にするという迷信が生まれました。

何度も言いますが、これは迷信です。どの干支の生まれにも極悪人がいて丙午だけが特別ではないのです。

■何故、迷信と何度も言うのかというと、翌年が午年となる年の暮れに一本の電話がかかってきました。

その内容はというと「来年は丙午ですか?」と尋ねられたので違いますと返事をすると「嫁が妊娠しているが、丙午なら堕胎させる」というものでした。私はびっくりして丙午ではないし、またそうであっても迷信だから赤ちゃんを堕ろすなんて以ての外ですと言いました。
しかし、電話の女性は幾ら説明しても納得しませんでした。

それで、次の丙午には、こんな問題が起きないように、皆さんに迷信があることをお知らせしようと思いました。親や祖父母などから何を言われても相手にしないで下さい。

丙午の前後の年には出生率が上昇します。産婦人科も減っていて受診するものも大変でしよう。進学や就職にも影響します。

逆に丙午だから楽だったという人もいます。私の弟が丙午の人と同級生だったので、進学がとても楽だったそうですよ。

迷信に惑わされず、愛情を持って赤ちゃんを育てて下さいね。