最近、院主さんが替えられたことがあります。
それは祈願の願意の「後生安楽(ごしょうあんらく)」を「延命成就・施餓鬼供養」にされたことです。
「後生安楽」というのは、残りの人生を苦痛を伴わず安楽に過ごすということですが、「後生」というのは寿命が尽きるまで、ではなく次に生まれ変わる来世が来るまでという意味です。
「延命成就」は文字通り命が延びるようにとのお願いです。
では何故、施餓鬼供養なのでしようか。
観自在を毎月読んで下さっている方にはお馴染みの阿南尊者の話です。
阿南尊者が三日で命が尽きてしまうことを焔口(えんく)という餓鬼に教えられ、それを免れる方法として「餓鬼道にいる苦の衆生、あらゆる困苦の衆生に対して飲食を施し、三宝『佛・法・僧伽』を
供養すれば汝の寿命は延び、我も苦難を脱することが出来る」と言われました。
お釈迦さまの弟子の阿南尊者は悩んでお釈迦さまに救いを求めました。
阿南尊者はお釈迦さまから「施餓鬼の法」を授かりました。
お釈迦さまは「餓鬼の言うことは真実であるが、恐れおののくことは無い観世音菩薩からひとつのありがたい秘術を授かっている。一器の食物を供え、この『加持飲食陀羅尼』を唱えて加持すれば、その食べ物は
無量の食物となり、一切の餓鬼並びに修行者たちは充分に空腹を満たされ、無量無数の苦難のものを救い、その施主は”寿命が延長”するだけでなく、その功徳によって、”佛道を証得する”ことができる」と説かれました。
施餓鬼は、自分の先祖はもとより、供養のされていない可哀相な精霊、無縁の精霊、すべての生きとし生けるものへの慈悲を巡らす尊いご供養とされています。
施餓鬼会の由来は、お大師さまが唐から請来された佛典の「焔口餓鬼陀羅尼経」に説かれています。
施工餓鬼はお盆やお彼岸だけでなく、いつ修しても良いものです。「まことの道」や「観自在」に載っている「施餓鬼供養文」というお経をあげます。
また、毎日の食事の時、小皿にご飯やおかずを少しずつ取り分けて庭などに置きます。
鳥たちが小皿のご飯を食べてくれます。この施食の方法でも施餓鬼が出来ます。
ご先祖さまや有縁・無縁の精霊、本人やその周囲の人々にまで慈悲と無量の功徳が巡らされるご供養です。
■ご高齢の方や、寿命の期限を知らされた方などに、少しでも長生きが出来るようにとの願いで、「延命成就・施餓鬼供養」の護摩木を書いて頂いたり、お札やお守り
をお授けしております。
観音院の施餓鬼供養は、お盆やお彼岸に限らずお願いすることが出来ます。
■願意は受付にお申し出下さっても良いですし、心配な方は院主さんとのご相談をお勧めします。
ご自分でよく納得されて護摩木を書かれると良いでしよう。
もちろん、「後生安楽」を付け加えられてもかまいません。
「延命成就・施餓鬼供養・後生安楽」のお願いも大丈夫です。
ご自身のため、ご家族のため、友人のために護摩木を書かれている方は沢山おられます。
どうぞ、安心して護摩木をお書き下さい。
■護摩木を書かれるのと同時に、ご家庭で毎日、施食をされると良いでしよう。
また、お盆やお彼岸の施餓鬼供養に出来るだけお参りになって、施餓鬼供養のお経をご一緒にお上げくださいませ。
観音院の施餓鬼供養は、五如来の旗が立てられて三界萬霊のお位牌が安置され、お洗米と餓鬼の細い喉にも通るように野菜を細かく刻んだもの(人参・椎茸・胡瓜・高野豆腐)を混ぜたものと、甘露水などをお供えします。
■お盆やお彼岸に忘れてはいけないのが、有縁無縁精霊供養です。
これき、縁のある人や縁のない人すべてのご供養です。
また、すべての生きとし生けるものを示しますので、大きな意味で私たちが生きていく上で糧となる動植物も供養されます。
日本には「いただきます」と「ごちそうさま」の文化があります。食事の前に合掌して「いただきます」というのは、他国ではあまり見られない習慣です。
最近では、海外の方もこれを見習って合掌して「いただきます」という方も増えています。
日本のとても良い習慣だと思います。
月刊観自在 令和元年9月号より
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